ドラス倶楽部 #22
第5回アクアトーキングレビュー(ATR)に参加してきました。
アクアトーキングレビューについてこちらで詳しくご覧になれます。簡単に説明するとアクア好きが集まって、アクアな講義を聞きながら、一日中ワイワイするイベントです。第五回の主役はウツボに首っ丈の大森尚也氏&いにしえのジャパニーズホームアクアリスト山田充哉氏でした。
前半戦は大森氏によるウツボの繁殖と飼育について。
目の前で本命を後輩に寝取られ唖然とするウツボ♂
社会に潜む研究者、なんと会社員の傍ら休日を利用して足繁く海に通い博士号取得まで修められたというから驚きです。さながら寄生獣、というかそれ以上の潜伏…
詳しくはイベントをリアタイした人の特権として、印象的だったのは半端ない計画性と恋心です。ウツボの繁殖行動を見るために個体を絞り時期を絞り場所を絞り、ジリジリと追い詰め、最終的には卵を産む決定的瞬間を目撃するために夜の水族館に張り付いたとのこと。その執念とも呼べる行動力には脱帽です。内容に加えて卵巣で満たされたウツボ3種盛りの写真スライドとか、KISSしたまま昇天して行くウツボ夫婦の初夜動画とか、衝撃資料もてんこ盛りでした。
飼育編ではアクアリストとしての一面を垣間見ました。ウツボを飼う大森氏、ウツボを獲る大森雨、そしてウツボとシングルベッドで2人の大森氏。うーむ、クールに淡々と喋っていたので気づきませんでしたが、今思い出すとやはりド変態でしたね。アッツアツの血がこちらにもドクドク入ってくる、そんなお話でした。
熱意に影響されたのか(どうかはわかりませんが)ウツボプレゼントタイムでは10匹以上が欲しい!という方に渡っていきました。ウツボ飼いたい人そんなおんねや…
最後に大森氏の言葉を借りまして、「ウツボは古代魚である」。(なんとウツボはアロワナに次ぐ古代魚。汽水魚でもその他の魚でもありません!)
袋とじ付録のようにtanakay氏の写真を浴びながら…
後半戦は山田充哉氏による日本のアクアリウムの歴史について。
いにしえのJapanese home aquariumを求めて、アクアリウムの歴史を包括的にお話してくださいしまた。冒頭に「私がモノを見る視点を皆さんと共有したい」と私も常に意識している一言。とりあえず私のことは語り出したら止まらないので置いといて。山田氏はとっつきやすい鑑賞魚の歴史から、当時の資料を用いてスタートです。戦時中の上流階級層での第一次熱帯魚ブームに思いを馳せまして、グッピー、アフシク、大アマゾン、インテリア水槽時代も追って説明してもらい、満を持して本題の器具編に突入します。
器具編の水槽、ヒーター、エアーポンプ、フィルターの歴史が肝なのですがマジで信じられないほどの量を見せていただけたので、なんと端折ります!ほんの一部ですが、二本足水槽、バイメタル式ヒーター、ピストン式エアーポンプ、サイフォン&エアリフト式外掛けフィルターなど、すでに絶滅した器具がゴロゴロ…
ラストに非常に感動したスライドを紹介しておきます。これを読み解くには山田氏のスピリットを説明しておく必要があります。
アクアリウムの歴史というのは誰かが伝えなければ消えてゆきます。それは歴史に限ったことではなく、経験やテクニックたるものも繋がなければ消えてしまうのは言わずもがな。科学は論文がその役割を果たしますが、趣味においては何が支えてくれるのでしょうか。新しく始める、いわゆる初心者の方が毎度ゼロからスタートしているようでは一向に進歩ができないわけで、“積み重ね”が大切になります。
そこでやっとスライドについて話ができます。消えゆく軌跡を全て一人で網羅するのは不可能ですが、水草の歴史なら、その中でも私はエキノドルスだけならなどと皆が得意科目を分担して進めて何か形にして残す、それならなんとかできそうです。山田氏の場合は器具で私の場合はドラスなのでしょう。その分担と時系列を枝分かれで示したのがスライドの図であり、趣味をさらに昇華させるにはを考える契機になると思います。第一次熱帯魚ブームを経験したであろう方は推定95歳、リミットが迫っております!
また、日本の歴史ができあがれば海外ではどうなのか、そして比較すると何が言えるのか、というのがアクアリウム民俗学で、一つのゴールだと山田氏は締め括りました。
以上が私のATRレポとなります。私の性格上、山田氏に寄った感想になってしまいましたが、同じ時間で同じ熱量を受け取っております。次回はいつになるかわかりませんが、趣味の深さを覗くためにも一度は訪れてみてはいかがでしょうか〜
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