Platydoras armatulus

 Platydoras armatulus についてまとめました。一般に流通するホワイトライントーキングキャットフィッシュ、略してホワイトラインです。

1. 基本データ

Platydoras armatulus (Valenciennes,1840)

 オリノコ川下流域、アマゾン、パラグアイ-パラナ盆地に分布するドラスで、15cmほどまで成長します。ワイルド個体だけでなくCB個体も流通します。特に3cmほどの赤ちゃんホワイトラインは目に何匹入れても痛くないほど可愛らしいです。成長するとだんだんと格好良くなります。ホント素晴らしいナマズ。学名のPlatyは「平らな」、doras は「皮膚」を意味します。目にする頻度が多く知名度も高い割に、未だ同属多種との違いが写真付きでバシッと書かれた図鑑や記事がありません。ミステリアスな一面もあるわけです。
 私は初めて目にしたドラスも初めて飼育したドラスも本種なので特別な思い入れがあります。(おそらく)調子や気分に合わせて体色や顔色がコロコロ変わるので見ていてとても愛着が湧きます。向こうからしてみればコッチミンナ!でしょうけどね…

2. 写真いろいろ

 撮り溜めている本種の写真を貼っておきます。過去写真を漁るうちにドラスの飼育歴は短いもののいろいろな思い出があるなぁとしみじみしておりました。

飼いたてホヤホヤのとき。私もドラス飼育者に成り立てホヤホヤ。2020.2.19

あどけない顔をしています。2020.2.23

Blue-eye catfish の英名もあります。2020.10.24

ブラックウォーター時代。2020.12.28

百均で買ったクリップ型のマクロレンズを携帯に付けて遊んでいた頃。2021.1.6

またクリアウォーターに戻してますね。可愛らしいお気に入りの写真です。2021.4.22

本当にカッケー。2021.5.14

ドラスは「背中で語る」ですな。上見で楽しむのもアリよりのアリです。2022.1.30

ひとつ前の写真から縦横比が変わったのはコンデジを使い始めたためです。まだまだあどけない顔つき…?2022.3.15

3. 飼育について

もはや隠れもしない45cm水槽のガキ大将

 本種を飼育するには最低でも60cmレギュラー水槽を用意しましょう。個人的に以前は45cm水槽で飼育していましたが無理を感じたので現在は60cm水槽で飼育しています。
 45 cm水槽で飼育していたときは他のドラスを蹴散らし餌を食い、タンクメイトは痩せ型になっているのに対して本種だけはブクブクに太っているというなかなかの状況でした。我が家の個体はワイルド個体かCB個体かわかりませんが、当時は警戒心が薄くまさにホワイトライン天下だったため、底モノとの混泳は困難を極めました。餌取り問題だけでなく、そもそも遊泳スペースが小さく感じたのも45cm水槽脱却のきっかけです。ただホワイトラインに関してはお腹が出るだけで体が曲がったり顔や背中にまで脂肪が付いたりはなかったので助かりました。

お腹が出すぎドラス

 60cm水槽に引っ越してからというもの、急におとなしくなり、警戒心バリ高でシェルターに引きこもってしまいました。初めは60cm水槽に1匹の単独飼育でしたがあまりの引きこもり具合にこれはイケると思い、南米のナマズやカラシンも入れて熱帯魚の混泳を楽しんでいました。さらに知り合いがスパイニーイールやチェリーバルブなどもぶっ込み多国籍水槽と成り果てた今でもホワイトライントーキングはおとなしいままです。おかげで痩せて理想的な格好良い体型になりました。

新しい水槽でやつれるドラス

 警戒心が薄くなったときの話を出しましたがさすがにシェルターは必須と考えます。日中、姿を見せてくれるときも確かにありはしましたがやはりドラス、基本はシェルターの中です。あるとき水槽からシェルターを取り出し、代わりに流木だけを置いてみましたが、ホワイトラインが木の下に潜り込みタンクメイトが隅でドン引きしてしまうカオス環境となったため、1日も待たずシェルターを戻した記憶があります。

これはこれで野性味溢れる…?

 何はともあれひたすら丈夫で飼いやすい魚です。大型魚水槽のお掃除用サブで飼われていたりしますが主役を張れる見応えバッチリの魚です。アクアリウム初心者も玄人も是非飼育してみてね!

ホワイトライントーキング検索

 ホワイトライントーキング(Platydoras属)の魚類検索を作りました!私が実際に飼育したことがあるのはP. armaturus だけなので感覚的なアレは乏しい内容かも。




Platydoras birindellii 

アルマータストーキングなどの名前で流通します。明るい茶色の体色に加え黄土色の大きな稜鱗が連なるなど特徴の多い個性的な種です。よくシングー川の瀬で泳いでいるとのことなので飼育の際には大型の水槽にディフューザーを付けて岩組みなんかカッケーなと思います。また、 Centrochir crocodili(Humboldt, 1821)の姉妹種のようです。聞き馴染みはありませんが変で良いドラスなので是非調べてみてください。

Platydoras costatus 

ビッグスケールドラスなどの名前で流通する黒い系プラティドラスです。熱帯魚店の入荷情報を見ていると黒い系プラティドラスには、ビックスケールドラス、ニュービックスケールドラス、プラティドラスsp. の3タイプがいるなぁと感じますが、どのタイプが本種にあたるのか、そもそもそれらの間に種レベルの差はあるのか全くわかりません。私調べでは普通のホワイトライントーキングの稜鱗は27枚前後なのに対して、黒い系プラティドラスは30枚になるという違いが見られます。昔の書籍では本種の学名がホワイトライントーキングキャットに宛てられていますが間違いです。

Platydoras hancockii 

ハンコッキーというとハンコッキートーキング(アンブリドラス属)を思い浮かべる人が多いでしょうし、昔の書籍でもアンブリドラスの学名はAmblydoras hancockii と紹介されています。しかし、正しいハンコッキートーキングの学名はA. monitor です。また、hancockii の種小名をもつドラスは本種のみです。真のハンコッキートーキング(P. hancockii)の流通は少なく、どこからこの名前が出てきたのか…不思議に思います。  

Platydoras armatulus

流通するホワイトライントーキングキャットのほぼ全ては本種です。スポッテッドトーキングキャットと並んで小型ドラス入門種と紹介されますが、小型種と考えていてはあっという間に水槽が小さくなります。

Platydoras brachylecis

正直よくわからない種なので言うことがありません。


Reference 

Leandro M. Sousa, Mateus S. Chaves, Alberto Akama, Jansen Zuanon and Mark Henry Sabai. Platydoras  birindellii, new species of striped raphael catfish(Siluriformes: Doradidae)from the Xingu Basin, Brazil. Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia. 2017. 166(1):1-13



Nivaldo M. Piorski, Julio C. Garavello, Mariangeles Aree H. and Mark H. Sabaj Pérez. Platydoras brachylecis, a new species of thorny catfish (Siluriformes: Doradidae) from northeastern Brazil. Neotropical Ichthyology. 2008. 6(3). 481-494

アガミクシス属検索

 アガミクシス属について個人的見解をまとめました。といっても2種だけです。





Agamyxis pectinifrons 

スポッテッドトーキングキャットです。主にペルーやブラジルからの個体が流通します。

Agamyxis albomaculatus

A. pectinifrons とは浮き袋の形が違うらしいようです。オリノコ川に生息しているとのことなのでコロンビアからの個体は本種かも?ですが、詳しいことはホントわかりません。とりあえずコロンビア産の個体を本種として紹介しています(リンク)。

Agamyxis pectinifrons

 Agamyxis pectinifrons (Cope, 1870) について。いわゆるスポッテッドトーキングキャットです。

1. 基本データ

Agamyxis pectinifrons (Cope, 1870)

 スポッテッドトーキングキャットの名で流通します。ペルー、ボリビア、エクアドル、ブラジルのアマゾン川流域に分布する10cmほどの小型ドラスです。飼育されている個体で20cmほどのを見せていただいたことがありますが、アレはドラスというか…王蟲とかいうまた別のバケモンです。コロンビア、ベネズエラのオリノコ川流域には同属の Agamyxis albomaculatus (Peters, 1877) が分布しており、コロンビア便の流通個体が本種に当てはまるのかと思います。なにやら浮きぶくろの形で見分けることができるようですが… 残念ながら外見上の違いは把握できていません。
 Agamyxis の語源はギリシャ語のagan(多い)とmyxa(粘液)からです。もちろんナマズの仲間なのでヌルヌルはしますが名前になるほどではない気がします。
 写真の個体は尾柄部の模様が白く乱れていますが、これはCB個体に見られる特徴のようです。

2. 写真いろいろ

 反射していたり指が入っていたり…あまり良い写真は撮れていませんがモデルがかわいいのでご覧下さいませ。

ザ・CB 個体の風貌

カッチョいい背中

もっちり腹側

3. 飼育について

 私はCB個体のみ飼育歴があり、ワイルド個体は触ったこともないので悪しからず。


 底砂に潜るといった行動は見せず、木の裏やシェルターの中に隠れたがります。ずんぐりむっくりな体型ですから当たり前といえば当たり前かもしれませんね。


 また、シェルターに隠れているときに引っ張り出そうとすると胸鰭をロックして立てこもります。水換えや水槽の引っ越しの際では意外と厄介になるので注意が必要です。
 CB個体の特徴なだけかもしれませんが、餌はドラスの中でもよく食べる方でかなり太りやすいと思います。まだ人前に出てきますが所詮ドラス、引きこもりなので飼育者がキッチリ確認&管理しましょう。

4. アカンソドラスとの見分け方

 スポッテッドトーキングキャットはポピュラーでドラスの入門種的存在となっていますが、その一方で “スポッテッドかアカンソか問題” でナマズファンを翻弄しています。
 例えば一部のスポッテッドトーキングキャットは「ヨシドラス」「サンダーアカンソドラス」などの名前で高額で販売されています。ヨシドラスやサンダーアカンソドラスは一応アカンソドラスの仲間とされているので名前と中身が違うじゃないか!という問題です。ただ、もちろんその名通りのホンモノが売られている場合もあります。加えて、間違ったインボイスネームのつけられたスポッテッドトーキングでも珍産地だったり特徴的な見た目だったりするので買って損することはまずありません。ご安心を。
 なら区別する必要がないと言われればそれまでですが、飼育者たるもの好きなコが気になるのは当たり前。てな訳で比べてみましょう。上がスポッテッドトーキングキャット、下がアカンソドラスです。
 

一目瞭然なのは尾鰭の形です。上は三角形に対して下は丸型になっているのがわかります。ここを見れば確実に区別できます。他にも目の大きさ、頭部の模様や各ヒレの形や骨などに違いはあるので慣れれば雰囲気で見分けられるようになります。