Scute
ドラスの体側面に生えるあのトゲトゲの呼び名について!
1.
Scorpiodoras calderonensis (友人の飼育魚)
ドリアンのように見えるこのトゲトゲ。図鑑の説明文や熱帯魚店の入荷情報などでも「棘」、「棘状の突起」などと表記していてイマイチ (わかりやすくするためなら申し訳ない) ですよね。私はバシッとした正式名称を知りたいお年頃になりました。
ドラスを調べて英語の文章を読んでいるとき「scute」という単語がよく出てきます。文脈や図から読み取るにこれがまさしくあのトゲトゲを意味するようです。しかし日本語訳を調べようと辞書を引いても見つからず、ネットで調べてもエッチな会社しか引っかからず…
それからも調べ続けていると「稜鱗」にたどり着きました。
2.
まずは稜鱗についてお勉強しましょう。
Wikipediaから引用→
稜鱗 (scute) は鱗と同じ機能を果たす。表皮から形成される魚の鱗とは異なり、稜鱗は皮膚の下血管層で形成され、表皮要素は一番上の表面のみである。真皮が生きている間に形成される稜鱗は、表面上は鱗のそれと似ている角質の外側層を生成する。
稜鱗は次の形状を取りうる。
・外部防壁みたいな骨板
・変形して肥厚した鱗で、しばしば稜線や棘がある
・突出した変形の(ギザギザに大きく隆起した)鱗で、通常は側線や尾柄や腹縁に沿っている。
マツカサウオなど一部の魚は、稜鱗で完全にまたは部分的に覆われている。アロサやツバメコノシロ科は腹部に稜鱗の列があり、これは防御目的で使用される鋭い棘のある出っ張った鱗である。一部のアジ科には側線に続く稜鱗の列が両側にある。
←引用おしまい。
ほうほうマツカサウオですか。
Monocentris japonica @四国水族館
ジャーン、写真を撮ってきましたよ。マツカサウオです。確かに全身が棘で覆われていますね。まさしくこれこそが稜鱗であり、皮膚の深いところからニョキニョキ生えていて、表面の見えている棘はほんの一部のようです。そして次はアジ科ですね。
こちらも写真を撮ってきました。スズキ目アジ科のロウニンアジです。腹から尾にかけての側面に生える棘が稜鱗であり、一般に「ゼイゴ (ゼンゴ) 」と呼ばれます。ゼイゴ (ゼンゴ) の名前では聞き覚えがある人も多いのではないでしょうか。尾柄にのみ生えており一見ドラスのものとは異なりますが稜鱗ひとつひとつはドラスとよく似た雰囲気をしています。
3.
稜鱗について勉強できましたね。それではドラスで確認しましょう。
よく見られる小型種2種のホワイトライントーキングキャットとアンブリドラス(ハンコッキートーキングキャット)です。どちらも背鰭起部の真下あたりから始まり尾鰭起部あたりで終わっています。表面に貼り付いているというより内部からニョキっと生えたような見た目です。
Pterodoras(上)、Oxydoras(下) @アクア・トトぎふ
よく見られる大型種2種のボドワードとオキシドラスです。ボドワードのほうは小型種と似た雰囲気ですが、オキシドラスの方はなにやら“ゼイゴ感”がありますね。
スコーピオドラス属(のはず)2種です。ホワイトライントーキングキャットやオキシドラスは稜鱗がぴしっと1列でしたがこちらはバラバラと乱立しています。ただ稜鱗の一つ一つはよく似た見た目です。
いわゆる遊泳ドラスの1種、ストローマウスドラスです。友人から預かっていた数日だけ飼育経験がありまして、稜鱗は上記のドラスと同じ見た目でした。
4.
トゲトゲ=稜鱗ということで。蓋を開けてみると漢字は難しいわ馴染みのない言葉だわで使う人が少ないわけですね。僕は極力使おうと思いますけど… あなたも使っていきませんか?英語の文献などで“scute”が出てきたら「あぁ、あのトゲトゲのことか」と思ってください^ ^
参考
ウィキペディア 魚の鱗
コメント
コメントを投稿