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ドラス飼育の壁

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 ドラスを飼育している際のトラブルとその対処法について。大型ドラス(20cmを超えるような種類)や遊泳系のドラス(ハッサー、ネマドラス、オサンコラなど)の飼育経験はほぼないので小型トーキング系についてを中心にまとめます。飼育されている方でこれ以上の対策があれば是非ご教授ください。これから飼育される方も予め知っておくことはアドになると思います。  今回はドラスの怪我や死骸など ショッキングな写真 を掲載しました。もちろん飼育者として恥ずべき写真であり、何よりドラスに対して申し訳ないです。それでも掲載する理由は汲み取っていただければと思います。  〈目次〉(押しても飛べません) 1.擦れ 2.飛び出し 3.衝突 4.痩せ・拒食 5.肥満・食べ過ぎ 1.擦れ  示したところが白くなっています。目に見えるほどの健康被害は出ませんが、これは軽い擦れの症状です。特にアンブリドラスに見られます。ドラス自体が隙間を好むためある程度の擦れは仕方ありませんが注意すべきと感じます。  強く擦れ続けると写真の1番上のようになります。擦り傷を負う(写真上)→かさぶたのようなものが覆う(写真中央)→治りかける(写真下)→また擦る(写真上)と繰り返します。当個体は砂に潜るとき、水槽のガラスと接触し続けたことが原因になりました。ガラスなど何も凹凸がない素材でも場合によっては怪我をします。  擦れは何も皮膚だけではありません。写真左上は目が擦れた個体で、砂に潜ったときにオレンジの土管で擦ったようです。一年経ちますがまだ写真左下の状態で完治していません。一般に、水換えをこまめに行い、水を新しく保つと治りが早いといわれます。  写真右上はヒゲが切れた個体です。原因として、少し擦れたところに細菌が入り込み、そのせいで切れてしまったということが挙げられます。コリドラスなどでもあるようで、完全に切れたり、カクッと折れたり、枝分かれしたりと様々です。写真の個体は一ヶ月足らずで完治しました。   対処法  シンプルな砂地を広く取るレイアウトに変更したり、水槽を大きくすることを勧めます。シェルターを用意しても、潜砂が好きな個体はシェルターを使わず砂に潜り続け、結果的に擦り傷を増やし続けることになり、空振りで終わることが多いです。 2.飛び出し  ドラスは飛び出し気質ではありません。ただ、飛び出しで死なせた経験がある

メガロドラス属検索

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 メガロドラス属 Megalodoras Eigenmann, 1925 についてまとめました。新しくQRコードを導入してみましたが、カッコよくてお気に入りです〜★ また、今回初めて比較図を作成してみました。わかりやすいと思っていただければ幸いです。  メガロドラスはギリシャ語のメガ「大きい」とドラス「皮膚」が由来となっています。ブラジルでは Cuiú cuiú amarelo (クゥクゥ鳴く黄色いヤツ)、ガイアナでは Key-way-mamma (カタツムリの母)、ペルーでは Piro (すぐ逃げるヤツ?)などと呼ばれ、食用魚として流通します。日本では観賞魚として流通し、大型水槽の掃除役としてわりかし人気があります。ボドワードやオキシドラスと一緒に水槽の隅でパンパンに太って転がっていることが多いです。皆さんはそんな残念な境遇におかれてしまったドラスたちに両手を合わせ、自分の手元の個体だけでもカッコよく育てあげましょう。 Megalodoras guayoensis (Ferández-Yépez, 1968) オリノコ川に分布するメガロドラスのなかまで、全体的に色素が薄いのが特徴です。写真が少なく、おそらく日本未入荷のドラスです。 Megalodoras uranoscopus (Eigenmann & Eigenmann, 1888) ブラジル広域に分布するメガロドラスのなかまで、日本で流通するメガロドラスは本種にあたります。変異に富み、生息地によって体色、顔、体つきが異なります。ブラジル産の小綺麗な個体はホプロドラスのインボイスネームで流通することがありますが、現状の分類体系では区別しません。 Megalodoras sp. Xingu シングー川の上流域固有のメガロドラスの未記載種群です。ブラジルのベロモンテ周辺の急流が M.uranoscopus と生殖隔離を起こしている可能性が示唆されています。未記載種であるものの、稜鱗の数や体色において上記2種と明らかに差があり、研究者にも認知されているので掲載しておきました。本種は過去にシングー川産メガロドラス(シングー産といってもほぼ M.uranoscopus 。たま〜に本種のときがあった。)やその混じりとして入荷例がありましたが、流通は極めて稀です。 Reference   Mark Sabaj

月刊アクアライフ ドラスキャット大集合

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 長いこと探していた「月刊アクアライフ1986年6月号ドラスキャット大集合 特集」をついにゲットしました!うれしい〜  私よりずっと歳上の雑誌です。最近のアクアライフでは小特集で小型ドラスや大型ドラスを取り上げていましたが、写真は綺麗なものの、せいぜい見開き数ページの文量で読み応えに欠けていました。  しかし、このドラス号はページをめくるとドラス。さらにめくってもドラス、飛ばしてめくってもパラパラ見てもドラス。特集というだけあってドラスキャットでビチャビチャ!とてもうれしい。文章は名声、悪名ともに高い松坂實。ところどころでコリドラスとドラスが比べられ、ドラスの素晴らしさが強調されています。  出版された頃はまだメガロドラスが日本にほんの数匹しか入荷されていない時代だったようです。古い雑誌なのでこれホンマか?みないな所があるのは仕方ないですが、写真◎、文章◎でおもしろかったです。

Agamyxis albomaculatus

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Agamyxis albomaculatus  (Peters, 1877) について。 1. 基本データ Agamyxis albomaculatus  (Peters, 1877)   スポッテッドトーキングキャットの名で流通する10cmほどの小型ドラスで、コロンビア、ベネズエラのオリノコ川流域に分布します。写真の個体はコロンビア産として購入したのでとりあえず本種として紹介します。 Agamyxis  の語源はギリシャ語のagan(多い)とmyxa(粘液)からです。もちろんナマズの仲間なのでヌルヌルはしますが名前になるほどではない気がします。  また、ペルー、ボリビア、エクアドル、ブラジルのアマゾン川流域には同属の  Agamyxis pectinifrons  (Cope, 1870)   が分布しています。 アガミクシス検索 でまとめていますので是非ご参照ください。なにやら浮きぶくろの形で見分けることができるようですが… 残念ながら外見上の違いは把握できていません。飼育していく過程で何かわかることがあればまたブログにて記事を書こうと思います。 2.ギャラリー  まだまだ子どもですのであどけない雰囲気がしていますが、成長していくにつれてどんどん太々しくなっていきます。それはそれで楽しみです。 模様が多く、綺麗な個体だと思います。 メスでしょうか?成長が楽しみです。   ええ雰囲気してます。 よく食べるので見ていて微笑ましいです。 3. 飼育について  砂に潜る系ではなくシェルターに隠れる系ドラスです。一口に隠れるといっても彼らは「ピタッと感」を求めるようです。シェルターに隠れるせよ、流木の影に隠れるにせよ、逆さになろうとも自分のお腹を壁にペタッと貼り付けるようにします。  餌をやるとちゃんと出てきてよく食べてくれる良いドラスです。ただ一つ注意点はシェルターから引っ張り出そうとすると、胸鰭をロックして抵抗してくることです。そうなるともう出すのは不可能ですし無理やり押したり引いたりしてもドラスが怪我をしてしまいます。掃除の際には億劫ですが慣れてくると隙を見てヒョイと出せるようになるので気長に付き合ってください。

Amblydoras monitor

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  Amblydoras monitor について。 1. 基本データ Amblydoras monitor   (Cope, 1872)   アマゾン川上流域に生息する15cmほどの小型ドラスです。学名はギリシャ語のamblys(鈍い)とdoras(皮膚)に由来します。最もポピュラーなアンブリドラスで、ハンコッキートーキングと呼ばれるのはだいたい本種にあたります。分類について詳しくは アンブリドラス属検索 をご覧ください。 2. ギャラリー 我が家に来たとき 2020.12.24 澄んだ瞳 2020.12.24 すごくかっこいい 2021.10.26 意外と小顔なんです 2022.2.20 お腹 2022.7.21 目力からくる老成感 2023.1.27 ドラスは上見も良い 2023.2.19 3. 飼育  よく潜ります。私の水槽の中では一番先輩のホワイトライントーキングが左遷された結果、最古参となったのですが警戒心が高く、あまり動きません。個体の性格にもよるので、我が家のドラスは少々気難し屋さんのようです。潜って欲しいところに砂を盛ったり、真夜中に餌やりをしたり工夫をしながらなんとか飼育しています。

Amblydoras sp.

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 アンブリドラス属の未記載種について。 1.基本データ Amblydoras sp.  2021年3月頭に「アナドラス sp. リオマモレ」で入ってきたヤツです。寸詰まりな体型のアンブリドラスはアナドラスの名前で売られていることがあり、こいつも例に漏れずそのケース。そんでもってチマチマ調べたところ未記載種だろうと思ったので  Amblydoras  sp. で紹介します。分類については アンブリドラス属検索 をご覧くださいまし。今見るとなかなか稚拙な出来であまり参考になりそうではありませんが…  上からメロドラス、今回紹介するドラス、アンブリドラスです。鰭や体格は雌雄差や年齢を考慮するとなんとも言えませんが、模様、稜鱗、その他もろもろ全て上下のドラスの中間をいっているふうに見えます。だからといって学術的にわかることなんてないのですが、趣味としてめっちゃオモロいなぁと思います。  ちなみにここ数年、メロドラスとして入荷されている魚は入荷情報の写真を見る限りほとんどがコイツだと思います。ただ知り合いの方がそのメロドラスを通販で買ったところ、本物のメロドラスが届いたこともありました。 2.ギャラリー 顔 2022.4.1   上から 2022.4.1 買いたてホヤホヤのとき 2022.4.1 忍 2022.4.5 落ち着くと体色は暗くなりました 2022.6.19 3. 飼育  飼育について特筆すべきことはありません。よく泳ぎ、よく食べ、よく寝ます。ワイルド個体というのもありビクッと急に泳ぎ出して頭を怪我することがあります。直に治りますが見ていて痛々しいので注意してください。  こんな感じで砂に潜るので底砂は敷いた方が良いでしょう。  明るい体色、可愛い丸顔、ブチ模様でスイスイ泳ぐ様子を見ていると本当に引き込まれます。ホント良い魚!

猫魚本棚

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 私の本棚の中より、日頃から読み漁り、参考にしている「ナマズ図鑑」を紹介します。他人の本棚って見ているとおもしろいよネ!  1. 雑誌類  主にアクアライフ、アクアマガジン、フィッシュマガジンを集めています。ナマズが好きなのでドラス以外のバックナンバーでもナマズ関連であれば買っています。  アクアマガジンなどは掠ってもない世代ですが、中古で買ってきて友人と息を荒げて読みました。数々の鉄人が現地や飼育について語る記事を読むと、本当に体の芯からゾクゾクする…感謝の一言に尽きます。 「アクアライフ」の記事一覧  https://www.mpj-aqualife.com/category/%E9%9B%91%E8%AA%8C/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95/ 2. 世界のナマズ 増補改訂版  ザ・ナマズオムニバス。この本が私にとってナマズの世界への入り口となりました。ほつれてくるほどに読み込んでいます。掲載種数、カラー写真は共に多く、科ごとに区切られ、写真と詳細がシンプルに並べられているのでとても見やすい図鑑です。  この本はカタログ的な使い方ができるところがとても良いと思います。内容が薄いとかチャチャを入れられがちですが、この本ほどナマズを鳥瞰しやすい本はありません。目から鱗、眼球がナマズ肌になります。  ちなみに、改訂前は後ろに各ナマズの飼育方法などがコラムとしてザッと載っていましたが、改訂後はそれらが新着ナマズ一覧へ変更となり、スカラプラックス科など改訂前では科レベルで載っていない魚が追加されています。ただし、改訂後でも(例えばアゲネイオスス科やヘロゲネス科など)今では誤りとなる箇所があるため過信は禁物です。一長一短なので安い方を買えば良いと思います。 世界のナマズ 増補改訂版 https://www.mpj-aqualife.com/2019/12/06/%E2%98%85%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%83%9E%E3%82%BA%E3%80%80%E5%A2%97%E8%A3%9C%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88/ 3. An Atlas of Freshwater and Marine Catfishes  多くの